百 経 ( けいけん ): 百 刑(つみ)  やってはならないこと

(1)原子力発電所の記録改ざん

このコーナで取り扱う課題として、原子力発電所の記録改ざん問題を選んだ。
その会社の組織の中にいて、どれだけのことができるのか。
組織の中にいて、組織の常識がどれだけ公正なものかがわかるのか。
企業の社会責任と企業利益、それと官庁との関係。
東京電力で始まったこの問題、関連する組織がどう対応していくのかを、
技術者への警告とみてその経過を新聞報道から整理したい。


原発停止で下期赤字(東京電力)  −収益に影響大−
 11/19/2002   東京電力は、19日中間決算結果を報告した。9月中間期の経常利益は、1,502億円だった。しかし、下期は原発停止の影響で約1,300億円の燃料増加分などもあり、下期は約400億円の赤字になる見通し。通期の経常利益は、2,100億円の予測である。

 −原発が停止し、年1400億円の負担が増える。(100kei)−

火力発電で代替(東京電力)  −コスト高による収益悪化が心配−
 10/1/2002   東京電力は、停止中の火力発電所を6基再稼動させる。合計出力は、300万KW。トラブル隠しで停止した原発の稼動が厳しい状況のため、火力発電に切替える。コスト高による収益悪化は避けられない。
 自主点検のため、10月中旬までには、800万KWの原発が停止する。

 −出力100万KW級の原発を止めて火力で代替すると、一日約1億円のコストが上昇するとのこと。800KWの原発を停止させていると、一日8億円のコストがかかる。原発の効率の良さを認識した。(100kei)−

告発者名、漏洩(保安院)  −告発者保護の意識の低さを認める−
 9/28/2002   経済産業省の保安院は、内部告発者名を東京電力側に漏らしたことを公式に認めた。2000年12月、告発を受けた2つの記録改ざんについて、東電にGE技術者のサインが含まれた検査シートを渡す際、告発者が特定できる文書も含んでいた。

 −このような隠蔽環境で、原子力発電にかかわる人達が原因究明と安全対策を真剣に取り組んでいるかが疑問だ。原子力を有効に利用することは、人類が神の領域へ踏み込んでいる事実認識が必要。新しい挑戦に問題は起こる。米国や多くの先進国が安全性や事故対応の困難性から、ずいぶん以前に原子力発電に新設を国としてやめていることも忘れてはならない。原子力は、まだまだ技術開発中の認識が必要。逃げるのではなく、問題を直視して取り組みたいものだ。(100kei)−

配管の85%に傷(東電福島第一原発)  −配管のうち3本は貫通していた。−
 9/26/2002   東京電力福島第一原発3号機で配管の85%にあたる242本にひびがあることが、25日東電の調査で分かった。うち配管の残りが3mm以下のものが10本以上あり、3本は貫通していた。
 この配管は、核反応を抑える制御棒を水圧で操作する装置で、原子力の暴走を防ぐ役割を持つ。貫通を放置すれば、配管が破断して、水圧がかからなく恐れもある。東電は「制御棒は反応を抑える仕組みで、安全上は問題ない」としている。しかし、配管のすべてを交換する。
 東電は、他の原発の配管も調べるとともに、配管の調査方法も見直す方針。
 報告を受けた経済産業省の保安院は、他の電力会社に調査する方向で検討に入った。
 東電の調査では、原子炉格納器容器の壁を貫通し、内部の圧力容器に接続。ひび割れは格納容器内側の壁際に集中していた。建設当時に付着した塩分などが原因の可能性と報告。
 東電は塗装の無い部分のみを検査し塗装部分の検査はしていなかった。今回のひびのすべては、塗装部分にあった。

 −東電の「今回のきれつを安全上は問題ないとしている」点が気になる。原発が必要の無い配管をするはずは無く、配管は異常発生時に制御装置からの制御により原子力の暴走を抑制するための情報を伝える管路のはずだ。2重、3重に安全処置がされているから問題は無いという見方があるとはいえ、問題が発生したらどんな二次障害が起こらないとも限らない。(100kei)−

原発トラブル隠し(東電)  −安全を重視した対応をしていない−
 9/2/2002   東京電力(東電)は、福島第一原発4号機と第二原発2、3、4号機を順次止めて点検することを明らかにした。損傷の疑いがあるのは、「シュラウド」のひび割れ。シュラウドは運転w停止しないと点検が出来ない。
 また、保安院は、2日午後、福島第一原発、第二原発電および柏崎刈羽原発の3基への調査を行う。
 

 −「隠した事が悪い。」となっているが、なぜひび割れが起こるのか。その原因は何か。損傷の影響は、類似の問題がおこる可能性はあるのか、など技術的観点での安全対策が検討されているとは思えない。目先の対策でなく、設計上の問題を含めて対策が必要だ。(100kei)−

虚偽報告、罰則を強化(経済産業省)  −真の再発防止策になっているか疑問−
 8/31/2002   経済産業省は、東電が原子力発電所の検査データを改ざんした問題を受け、虚偽報告に対する罰則強化を盛り込んだ電気通信事業法の改正案を秋の臨時国会に提出することで検討に入った。

 −再発防止には、真の原因をつかむ必要がある。罰則で無くなる問題か。(100kei)−

原発点検で虚偽記載(東電)  −企業の不正をどのようにどうぢするのか−
 8/30/2002   経済産業省原子力安全・保安局は29日、東京電力(東電)福島第一、第二および柏崎刈羽の3つの原子力発電所で、1980年代後半から90年代前半にかけて、原子炉圧力容器内のひび割れなどを自主点検で発見しながら、29件について記録改ざんし国に報告しなかった疑いがあると発表。
 保安院は、電気事業法の報告義務違反の疑いがるとして、事実関係の調査を始めた。
 東電が保安院に提出した資料によると、80年代後半から90年代前半に同社が三原発の13基の原子炉についての定期検査で、炉心隔壁のひび割れや、ポンプの磨耗など計29カ所の欠陥を発見しながら、点検記録に記載しなかった。
 この問題、2000年7月に関係者から当時の通産省に内部告発があった。保安院が、東電から請負った米GEの子会社であるゼネラル・エレクトリック・インターナショナル」から点検データの提出を受けて調べたところ、東電の報告内容と矛盾する点が見つかった。
 保安院は、東電に内部調査を指示、今月に入り同社から「不実記載の疑いがある」との申告があった。

 −不正が安全を奪う。大きな事故にならずに良かったとみれるか。危機管理に疑問。(100kei)−