百 計 ( けいかく )       3.通信業界の動向

                ◎◎○◎◎ 通信業界動向 ◎◎○◎◎
    

通信業界は、大きな転換期に来ている。
NTT主導で業界を進めてきたが、いまやその面影はない。
米国に技術的な主導権を握られている。
これをどのように挽回していくかが、未来の日本を予測することにもつながる。 
ここでは、通信業界の未来を検討するための情報を掲載する。
業界の未来を予見し、ビジネスを計画したい。

フュージョンを傘下に(パワードコム)  −低価格IP電話需要が拡大−
 10/30/2003  パワードコムは、IP電話会社のフュージョン・コミュニケーションに資本参加し、2004年秋までに電話事業を統合することで調整を進める。2004年上期中にパワードコムの電話事業を切り出し、統合することを検討している。パワードコムは、譲渡資産に見合う株式の割り当てを受け、出資比率を引き上げる方針。子会社化も検討している。 
 −IP電話で、低価格での熾烈な競争が進行している。固定電話サービス、4位と6位のM&Aが検討されている。(100kei)−−

IIJを傘下に収める交渉に入る(NTT)  −通信業界再編の新たな動き−
 8/21/2003  NTTは、IIJを傘下に収めるため、NTTが100億円から200億円を出資し、資本の増強を行う。IIJが筆頭株主だったCWCが会社更生法の申請を8月20日に東京地裁に出した。この影響で100億円を超える損出が見込まれている。
 NTTはIIJを傘下にいれることで、ブロードバンド事業や法人向けデータ通信サービスの強化を狙う。

 −今回の交渉が順調に進むと、NTTはIIJの経営権を持つことになる。どのような事業関係を持つようにしていくのかは未知数だ。IIJを利益を生む事業体にどう変えて行くかが最大の課題のように思える。(100kei)−−

光伝送システム1000億円受注(富士通)  −米国通信大手ベライゾンから−
 6/24/2003  富士通は、米国通信事業者ベライゾン・コミュニケーションから光伝送装置を受注。受注した光伝送装置は、SONETといわれるリング型伝送装置である。富士通は、北米のSONET市場で3割のシェアを持っている。米国のインフラ整備が始まったかとの期待感がる。
 −通信の業界、良い話が長い間なかったが、このニュースを見逃せないの悪いといわれる米国でIT関連の投資が始まったことだ。通信業界の業績が上向く煙りぐらいは立ってきたと見る。(100kei)−−

固定電話減収(通信大手3社)  −2003年3月期、連結決算−
 5/28/2003  通信大手3社(NTT, KDD, 日本テレコム)の2003年3月期における連結決算が出、売上高が前の期をNTT、KDDIは下回った。
 NTTは、売上10兆9千億円、経常利益1兆4千億円、KDDIは、売上2兆7千億円、経常利益1千億円、JTは売上1兆8千億円、経常利益3千億円であった。この中でJTの大幅増が目立つ。

 −通信の売上にブレーキがかかってきた。IP電話という、安い通信がでてきた、固定電話事業にとっては脅威になってくる。2003年度は、この分野の競争が激化していくとみる。(100kei)−−

リップルウッドに売却(日本テレコム)  −英ボーダホンは、2,600億円で−
 5/24/2003  ボーダホンは、JTを米投資会社、リップルウッド・ホールディングスに売却することで大筋合意した。リップルウッドは、国内固定電話3位のJTの通信事業を手に入れ、設備投資を抑制することで、キャシュフローを改善し、法人向け通信事業に特化して、収益構造を作り上げる。
 −外資系通信キャリアが立ち上がる。「経営の出来ない日本人」が定着することは残念だ。(100kei)−−

NTT光ファーバー開放義務見直(参議院総務委員会)  −新電電各社反発−
 5/22/2003  参議院総務委員会は、NTT東西の他事業者にたいする貸し出し義務について見直し検討を決議した。これにより、NTT東西に課している光ファイバーの回線開放義務が見直しされる見通しだ。これまで電力各社には開放義務がなく不公平であるとNTTは開放義務の撤廃を求めていた。
 KDDIをはじめとする新電電各社は、一斉に反発している。

 −Yahooの進めるADSLとIP電話をはじめ通信改革が進む。NTTの経営も磐石ではない。(100kei)−−

NTT光ファーバー開放義務見直(参議院総務委員会)  −新電電各社反発−
 5/7/2003  KDDIは、2004年の3月期の決算で、800億円弱の特別損失を計上する方針。今期に損失処理する設備は、マイクロ波伝送路を廃棄する。
 KDDIは、海底ケーブルや高速道路沿いの光ファイバーケーブル網など4系統の基幹網を保有している。

 −不良資産の除却を進め、健全な会社へと改革を進めている。(100kei)−−

県間通信が認可(NTT東、西)  −NTT東、西が地域IP網で長距離分野に進出−
 2/19/2003  総務省は、NTT東およびNTT西の地域IP網の県間接続によるIPサービスの広域化について認可した。NTT東西は、昨年の11月に総務省に対して業務範囲拡大の申請を出していた。意見募集などで出された意見を踏まえて審査した結果、認可がおりた。
 −NTT東西は、県内網のみの事業が許されていた。県と県を結ぶ通信はIP網であっても許されてなかった。今回の認可は、業務範囲が拡大したことになり、通信事業者間の競争が激化する。(100kei)−−

NTT接続料、引き上げ(総務省)  −3月末から約5%引き上げで意見募集−
 2/14/2003  総務省は、新電電各社がNTT東およびNTT西に支払う次年度の接続料を現行より約5%引き上げる省令案をまとめ、情報審議会に諮問した。携帯、ADSLなどの営業を受けて通信料が大幅に減少している。
 14日の審議会では決められず、意見募集や公聴会を開いた上で3月下旬に決定することとなった。

 −NTT東西の固定電話の売上が減少している。接続料は年々下がってきていたがここで引き上げ。フージョンコミュニケーションなどのIP電話の通話料に直接影響を与える。(100kei)−−

顧客を今年中に倍増(KVHテレコム)  −法人向けの専用線サービス−
 2/12/2003  米フィデリティグループ傘下のKVHテレコムは、今年中に顧客を倍増し、800社に拡大する。
KVHは、法人向けの専用線に特化したサービスを行っている。顧客開拓は、汐留や六本木の高層ビル群に光ファイバーを引き込み、企業ユーザを獲得する。

 −元気の良いKVH。東京都内に自社で張ったファイバーを活用し、価格で勝負か。(100kei)−−

NTTのグループ戦略(NTT)  −光でADSLに差別化−
 11/26/2002   NTTは、ファイバー通信網を基盤とした安価で信頼性の高いブロードバンド通信の提供を柱とするグループ戦略を発表した。
 発表したのは、「”光”新世代ビジョン」で中心となるのが3年後に開始予定のブロードバンド通信サービス事業である。
 NTTは、新ネットワークサービス普及のため、放送業界のほか金融業界や製造業界とも連携し、新しいビジネスモデルの開発を進める。

 −ADSL, IP電話で苦戦するNTT。固定電話減収を補えるビジネスにブロードバンド通信サービス事業を育てることができるかが、今後のNTT戦略の成否がかかっている。ビジネスでのモデル作りがNTTの課題とみる。(100kei)−−

9月期決算、公社以来の減収(NTTグループ)  −通信市場が大変革−
 11/18/2002   NTTの9月期連結決算は、1952年の電電公社発足以来の初の減収決算となった。固定電話の収益が目減りするなか、携帯電話市場が飽和し成長に急ブレーキがかかった。
 9月中間の連結売上高は5兆3千6百75億円、3月期の売上予想は、10兆9千6百10億円で前期比1%減となる。9月末の一般加入電話の契約数が東西合計で5千60万件と1年前に比べ60万件減少した。

 −携帯電話が市場飽和し、成長に急ブレーキがかかっている。ADSLのヤフー攻勢は、革命的な市場戦略を進めて、一挙に市場の囲い込みを進めている。この革命的なスピードで日本は世界に先駆けてブロードバンド時代へと突入していく。IP電話では通話料無料が新たな通信革命を引き起こす。トラフィックが携帯からIP電話へと変わるのではないかとも予測する。ヤフーの無料攻勢は脅威でもある。(100kei)−−

6000人を配転(NTT西)  −携帯に移行、固定電話の収益が悪化−
 10/26/2002   NTT西は、年内に子会社の6000人の社員を固定電話系業務からブロードバンド通信やパソコン関連のサービスに約6000人を配転させる方針。
 今回の配転の対象となる子会社はNTTネオメイトの16の地域会社など。
 NTT東西は、固定電話の収入が減少し、収益が悪化している。特に採算が悪い西は、東より厳しい状況にある。

 −簡単に人員削減できないのがNTTの悩み。固定電話からIPネットワークへの業種変更といっても、新しい技術習得は大変な努力がいる。この構造変革がNTTの試練と見える。(100kei)−−

通信機器の開発・製造部門を縮小(通信大手3社)  −サービス部門根への配置転換−
 10/25/2002   NEC, 富士通、沖の通信各社は通信機器の開発・製造部門を縮小する。
 NECは、開発部門からサービス部門に約1,000人を配置転換する。沖電気は、2003年の3月までに通信部門の人員を約1,500名から340名に削減する。富士通は、通信部門の人員1,100名の削減を行う。
 NTT向け、海外での光伝送装置などの通信装置の売上が大幅に減少しており、人員削減によって経営改革を進める。

 −日本の通信産業にかげりがでてきた。通信大手各社が通信市場から撤退して、技術者が離散している。次世代のネットワーク構築は誰が開発を進めるのかとの疑問が残る。「通信は国家なり」と思えるのだが。国内分業体制も必要だと思えるのだが。(100kei)−−

5000人を地域子会社に移す(NTT東)  −固定電話離れが進む−
 10/9/2002   NTT東は、来春をめどに5000人の社員を地域子会社に移す。今年5月に約4万5千人規模の合理化を下ばかり。対象は、正規社員約2万5千人のうち、設備の構築・管理部門の社員が中心。移転先は、件単位に発足させた地域アウトソーシング子会社に移す。
 −固定電話の減収とリストラ効果との追いかけっこ。NTTは大幅な人員削減をして固定費を圧縮しなければ収益は改善されない。ADSLに固定電話の収入が取られてくる。(100kei)−−

独禁法に抵触で申告(平成電電)  −携帯電話各社が料金を不当に拘束−
 9/5/2002   平成電電は5日、携帯電話各社が固定電話から携帯電話にかけた際の料金を不当に拘束しているとして、公正取引委員会に独占禁止法に基づき申告したと公表した。
 固定電話から携帯電話への通話料金はドコモが3分80円、KDDIとJフォンが3分120円。
 通常は、発信側の事業者が料金を設定しているが、携帯電話では、発信、受信にかかわらず携帯電話会社が料金設定件を持っている。平成電電は、固定電話側からの通話料金は固定電話サービス側で設定権を持つべきだと要求している。

 −ベンチャー企業、平成電電の言い分も分かるような気がする。(100kei)−−

世界にサービスを提供(NTT)  −NTT和田社長の経営戦略−
 8/2/2002   NTTは、2000年に買収した米国ベリオ社の建て直しを進めている。昨年、データセンター部門の縮小を進めたが、状況しだいでは通信網のリストラも検討する方針。ベリオは、NTTコミュニケーションがエンド・ツー・エンドのサービスを世界で提供するために買収した。「簡単には撤退しないとと和田社長が語った。
<日経8/2/2002 インタビュー記事を参考>

 −通信ネットワークは国家戦略である。日本を代表するNTTには、日本国民が安心して使えるグローバルネットワークを安定した品質で、安価に我々に提供して欲しいと考える。(100kei)−−

電力系とIIJの合併(IIJ)  −NTTに対抗する通信事業者となるか−
 7/18/2002   東京電力は、18日同社などが出資すパワードコムがインターネットイニシアティブ(IIJ)と事業運営の一体化に関する検討を進めていることを認めた。
 パワードコムは、TTNetと来春経営統合する方針を表明していた。

 −IP系が電話事業を支配する時代となるか。電力系電話事業の大きな統合が進む。(100kei)−−

不正経理(ワールドコム)  −経費を資産に計上−
 6/29/2002   ワールドコムの不正の手口は、本来は費用として処理しなければならない通信網の維持コストなどを、資産として計上し、償却前利益をかさ上げしていた。
 不正が行われていた時期にワールドコムの監査を担当していたのは、アーサー・アンダーセンだった。
 ワールドコム株は、3年前には60ドルを超える値をつけていた。不正経理発覚前にすでに1ドル前後に低迷していたが、26日には83セントまで下落した。

 −米国の企業がこんな不正をしていたかと不信感がつのる。IT分野が元気になるのはまだまだ先か。(100kei)−−

NTT各社のISPを統合(5年後か)  −産業構造もサービスも変わる−
 4/25/2002  19日に発表した「グループ経営3ケ年計画」で、NTTは各社で展開しているインターネット接続事業(ISP)の統合方針を打ち出し、事業分野ごとの”水平統合”を推進していく考えを明らかにした。NTT宮津社長は「各社が外部と資本提携するようになれば混乱しそうだ。サービスが顧客に近づくなかでNTTだけで会社をつくってもうまくいかなくなる。グループを解散して各社が独立する方向になれば、持株会社が、面倒な存在になるだろう。ただ、高齢層が多いというゆがみ是正に5年から10年かかる。そのころには産業構造もサービスも変わり、持株会社の役割が変わるターニングポイントになる」
 「後任の経営陣には、ある程度リスクも引き受けた新しい『事業』を展開してほしい」(NTT社長)

 −5年後(2007)をめどに、NTTは大きく変わる。構造改革は、段階を踏んで進んでいる。(100kei)−−
IP網に移行(NTT)  −通信業界のダウンサイジングが本格的に到来−
 4/24/2002  NTTが、19日発表した「グループ三ヶ年経営計画」のなかで、IP技術を使った「IP網」への全面移行構想を打ち出した。日本の通信インフラを担うNTTのIP網移行は、通信業界のダウンサイジングが、本格的に到来することを意味する。
 「5年以内に長距離基幹網の完全IP網化。早ければ10年後に全ての通信網が原則IP網に変わる」見通し。
 IP網移行は、高額な交換機を中心とした通信ネットワークから安価なネットワークへ変わるダウンサイジング。
 −1980年後半にIBMを襲ったコンピュータのダウンサイジングと同じとも。巨大企業NTTの通信設備に対してダウンサイジングが始まる。(100kei)−−

無料公衆電話(エスコとNTT-X)  −動画広告から収入−
 3/5/2002  エスコ・ジャパンは、無料公衆電話サービスを全国で始める。液晶画面の動画広告を15秒間見れば、最大で9分の通話ができる。
 新サービスは、インターネットサービスのNTT-Xと提携、専用の公衆電話機を共同で開発した。
 フュージョン・コミュニケーションズによるIP電話を通信インフラに使用。CMデータ更新や利用データの送信には、NTT東西のフレッツADSLを使う。
 固定電話にかける場合は、9分間、携帯電話の場合は1分間通話が無料でできる。
 エスコは、NTT−Xと共同で、無料の公衆電話をデパートやスーパー、ホテル、映画館、大学など人の集まる場所に設置していく。同電話機の製造コスト約百万円と設置コストは、設置を希望するデパートなどが負担する。3年間で十万台設置する計画。

 −無料公衆電話、魅力的なサービスだ。(100kei)−−

設備投資からの逃亡(NTT)  −2005年、1千万世帯に高速インターネット−
 2/26/2002  NTTが1985年の民営化後最大の難局に立たされている。
 固定電話が、地盤沈下、期待のブロードバンド通信では価格破壊が進む。
 全国のNTTの電話ケーブルは老朽化が進み、半分から3分の2が耐久年数の15年を経過しているもよう。
 東西会社にNTTコミュニケーションズ、持ち株会社を足した設備投資は、
   1兆9千9百億円(96年3月期:過去最高)
   1兆千2百億円(02年3月期:今期)
   1兆円の大台を割り込む可能性(03年3月期:来期)
 削減額が最も大きいのが交換機や線路施設、通信土木工事など電話設備関連だ。旧来の電話設備の更新先送りなどで、今期は約6千2百億円とピーク時の4割の水準に落ち込む見通し。
 宮津純一郎社長は「NTTの将来の方向性は光ファイバーの普及を軸にしたい」と強調する。東西会社が今期末に総務省に認可申請する来期の事業計画では、光ファイバー投資を今期の千9百億円から6百億円程度積み増すようだ。限られた資金を家庭までの光網構築に重点配分する。
 この戦略を実らせるには、総務省に対する説得が必要だ。年間2千億円前後の資金を投じて光網を広げても、すぐさま新規事業者に対して安価での開放を迫られたのでは、投資の回収すらままならない可能性がある。今のNTTに、そんな余裕はない。
 光ファイバー網はNTTの切り札だ。それだけに、最後に残された成長の芽を摘みかねない総務省の主張に対しては、「もう光ファイバーは引かない」という”脅し”さえ辞さないだろう。2005年までに1千世帯に超高速インターネットを普及させるという政府方針に、NTTが公然と反旗を翻す日は意外と近いかもしれない。

 −アクセス系を光ファイバー化は、NTTの戦略でありそれは日本の国際競争力向上手段にもつながる。米国はインタネット普及率は高いがアクセスラインの光化では、遅れをとっている。(100kei)−−